社員一人ひとりに成長の機会を
諸星 黒田さんにとって、今までの会社人生でいちばん大きな転機はいつでしたか?
黒田 入社4年目のころ、上司から「昇格試験に挑戦してみてはどうか」とアドバイスを受けた時ですね。ただ、当時は販売の仕事が本当に楽しかったので、昇格したら販売に割ける時間が少なくなってしまうのでは?と思って少し抵抗がありました。迷っていた私に「せっかくのチャンスだから挑戦してみよう」と上司が根気よく促してくれたこともあり、試験に挑戦し、新しい一歩を踏み出しました。実際には販売にも専念しつつ、リーダーとしての仕事のやりがいや醍醐味も知ることができたと思っています。自分から挑戦する気持ちになるにはまだまだ時間がかかったはずだと思うと、あの時に背中を押していただけたことで運命が大きく変わったと思います。
諸星 僕の場合は入社5年目の秋、突然、冬の展示会の責任者に指名された時です。これまでビッグイベントの責任者は、中小規模の展示会の企画運営の経験を重ねた人に任されることがほとんどでしたよね。僕にはそのような経験がなかったので、自分に声がかかったことは本当に予想外でした。
黒田 実際に運営してみた感想はどうでしたか?
諸星 展示会が近づくにつれ、思うように色々な準備が進捗しておらずちょっと行き詰まってしまいました。原因は何だろうと考え、展示会チームの後輩たちの動きを確かめてみたところ、一人ひとりの動き方や成果の上がり方にバラつきがあることが分かりました。そこで、画一的な方針を伝えるのではなく、目標を再度確認して、個別に指導を続けたところ後輩たちの成果が上がり始め、最終的には目標を達成することができました。責任者という重いプレッシャーに負けないよう「なんとかしなければ」という思いが自らの行動につながり、その姿勢が後輩にも伝わったことで、なんとかやり遂げることができたのかなと思います。厳しかった分だけ達成感は大きく、今となってはとても得難い経験をさせてもらったと思っています。
黒田 声を掛けられた時は「なんで自分なのだろう」と思うけれど、上司の方は一人ひとりの働き方や性格をしっかり把握していて、絶妙なタイミングで機会を与えてくださっているのですね。
諸星 同感です。こうやって成長させてもらえたと思うと、人にも環境にも恵まれている会社だということを実感しますよね。
成長の背景にある、100年続くミキモトの伝統
黒田 お互い係長という立場ですが、マネジメントすることの難しさを感じたりしますか?
諸星 難しさよりは、若手社員の頼もしさを感じています。例えば銀座4丁目本店がリニューアルオープンした際、本当に多くのお客様にご来店いただき、多忙を極めました。その多忙な日々をチームの中で役割を分担しながら乗り切ることができたのですが、あれだけ忙しかったにもかかわらず、お客様からのクレームや商品事故、在庫の不照合などは一切発生しませんでした。若手社員が自分から率先してよく動き回り、更にベテラン社員も含め、全員が力を合わせてくれたおかげです。若手社員のサポートは本当に頼もしかったです。僕は考える前に動くタイプなので難しさをあまり感じていないだけなのかもしれませんが、黒田さんは逆にじっくり考えるタイプですよね。
黒田 そうですね。特に係長になる前は「責任者だから」「先輩だから」という思いが先に立ってしまい、チームとして職務にあたることを必要以上に難しく考えていたかもしれません。初めのうちは何をやるにもすべて自分が実践してみせていましたし、細かなところまで確認しなければ気が済まなかったです。でも、ある時考え方を改めて、「自分で」という意識は脇において、できるだけ後輩に任せるようにしてみました。すると、メンバーとの精神的な距離がぐっと近なり、チーム全体の士気が高まることがわかったのです。メンバーを信頼して、思い切って任せることの大切さを学びました。
諸星 ミキモトにはチームで力を合わせる風土が根付いていますし、若手もしっかりしていますから任せても大丈夫なのですよね。
黒田 本当にそうですね。新入社員にも一挙手一投足、こと細かに指導しているわけではないのですが、1年もすると自然と言葉遣いや立ち居振る舞いが洗練されてきて、みんな自分なりのミキモトらしさを身に付けています。
諸星 日々の業務を通じて、お客様からの大きな期待を感じ取ったり、ベテラン社員や先輩の様子を学んだりしているからですね。100年以上続いてきた伝統というのは、こういう部分に表れているのかなと思います。
黒田 あらためて考えてみると素晴らしいことだと本当に思います。
後進の成長に貢献するという目標
諸星 今後はどんなことを目標にしていますか?
黒田
リーダーとしてのスキルをさらに磨きたいと思っています。
その一つとして、海外からの様々なお客様に対応するための語学力の質を上げたいと思います。単なる販売接客だけではなく、クレーム対応などより高度な会話力の必要性はますます高まっていくからです。また、リーダーシップの研修プログラムなど、社外の研修に積極的に参加することも考えています。
諸星
黒田さんはマネジメントのスキルを磨きたいのですね。
僕は接客のスキルをもっと高めたいと思っています。僕が尊敬している先輩に、お客様のお顔を見ただけで、店内のどこにご案内してどんなジュエリーをおすすめするべきか、即座に判断できるすごい人がいます。経験の幅を広げることで、いつか自分もあんな風になれたらいいなと思っています。更に僕は今までずっと本店勤務なので、いずれは他の店舗での販売業務に就いて更に販売の深みを体験してみたいと思っています。
黒田 本店の場合は、担当するフロアによって扱うジュエリーの種類が違うことから、お客様の層、実際の業務内容まで大きく変わるので、フロアが替わると最初は戸惑うこともありました。後輩たちが少しでも早く商品知識などのギャップを補えるような教育研修のプログラムを作れば、後進の役に立てるのかなと思います。
諸星 そういう意味では、僕は若手社員が自分を指名してくださるお客様を増やし、店頭や展示会にお越しいただけるようになるために指導していきたいです。後輩一人ひとりの話を聴いて、しっかり話し合いながら、それぞれの性格や考え方に適したアドバイスができるようになることが目標ですね。
黒田 更に私は若い女性が意欲的に働けるような環境を整えることに貢献したいですね。そのためにも、自分自身がキャリアの道筋を切り拓くことで女性活躍のロールモデルの一人になれたらいいなと思います。
諸星 お互い、それぞれの思いや目標を達成できるよう精一杯頑張りましょう。
Profile
黒田 倫世
人文学部日本文化学科卒
2008年入社
本店営業部 本店営業三課
Profile
諸星 聡
文芸学部文化史学科卒
2011年入社
本店営業部 本店営業一課